なぜヴィオラジョークを笑えないのだろう?
ヴィオラ弾きと会話をしていると、いきなり笑顔でヴィオラジョークをぶっこんでくることがあると思う。
そして場は凍り付く。
ヴィオラ弾き「ヴィオラとトランポリンの違いは、トランポリンの上では靴を脱ぐことなんだwwwww」
あなた「・・・」
ここであなたが絶句してしまうのは、そもそもジョークの意味が分からないからであろう。
これは、内輪ネタが外部の人には全然わからないのと同じ現象と言える。
内輪ネタには「お決まりのパターン」がある。
その「お決まりのパターン」の威力たるや、すさまじい。
「耳を動かす」という至って日常的な行為を、なぜかAさんがやると笑いを取れるのである。
「お決まりのパターン」を知らない外部の人間にとってみれば、満員電車内でたまたま向かい合ったAさんが目の前で耳を動かしたところで何とも思わない。
これと同様に、ヴィオラジョークの面白さがわからない人は、ヴィオラジョークというやや「内輪」なネタの「お決まりのパターン」を知らないだけなのである。
逆に、その「お決まりのパターン」さえ知ってしまえばヴィオラジョークの面白さがわかり、あなたはヴィオラ奏者と円滑なコミュニケーションが取れるようになるのだ。
それでは解説していく。
ヴィオラジョーク理解のための背景知識
以下の内容が目的とすることは「あなたがヴィオラジョークを面白いと思う」ことである。
そのため、まずはヴィオラジョークにおける「お決まりのパターン」を1つ解説してはそれに基づくジョークを紹介する、という形式を取りたい。
それであなたが面白いと思えれば、その単元に関しては目標を達成したことになる。
今回は四つの「お決まりのパターン」を用意した。
一、ヴィオラ奏者は音程が悪い?
解説
ヴィオラはヴァイオリンより大きい楽器のため、左手の音程の感覚がつかみにくい。
指同士をくっつけても、ヴァイオリンのようにきれいな半音差にはならないし、小指はしっかり伸ばさないと音程が低くなってしまう。
端的に言えば、ヴィオラは音程を安定させることが難しい楽器なのである。
プロともなれば話は別であるが、アマチュアヴィオラ奏者は常に音程問題に苦しんでいる。
しかも、何回練習しても理想の音程にたどり着かないし、毎回違う音程がでてしまう。
ヴィオラ奏者にとってこの苦しみは、もはや自虐ネタとして笑いに変えることしか道は残されていなかったのである。
ヴィオラジョーク1
Q「稲妻とヴィオラ奏者の指の共通点は何でしょう?」
A「決して同じところに2度は落ちないことです」
二、ヴィオラは価値の低い楽器?
解説
ヴィオラはオケ曲の中で目立つことが少ない。
ヴァイオリンのように美しい旋律を奏でることも少ないし、チェロバスのようにベースを支えるということもあまりない。
別にヴィオラ奏者はこのことを特別気にしているわけではないし、そもそもそんなことを気にする人はヴィオラをやらない。
しかし作曲家の陰謀で有名な旋律を弾けなかったりすると、ふと自虐心が生まれるのである。
ヴィオラは必要なのだろうか? 価値のある楽器なのだろうか?
ヴィオラは重要である。価値のある楽器である。
そのくらいのプライドはある...
でも...
というように醸成された自虐心はヴィオラジョークとなって具体化した。
ヴィオラジョーク2
Q「最新の録音ではヴィオラの音が聞こえないのはなぜ?」
A「ノイズを消す技術が発達したから」
ヴィオラジョーク3
Q「ヴァイオリンを盗まれない方法は?」
A「ヴィオラケースに入れておく」
三、ヴィオラは知名度が低い
解説
これはヴィオラ奏者の頭を悩ます問題と言える。
「ヴィオラをやっています」と言っても、ヴィオラが弦楽器だと分かる人は結構少ない。
これでは、自分の趣味を認めてもらうために、わざわざヴィオラについての説明をしなくてはならないので大変面倒である。
これは分かりやすいジョークとなる。
ヴィオラジョーク4
ヴィオラ奏者が久々に楽器を家に持って帰ると、出迎えた奥さん「あんた、それ何?」
四、他のパートに紛れて弾いていることが多い
解説
ヴァイオリンやチェロが旋律を弾いているとき、ヴィオラはその一部を一緒に弾くという場面が多くある。
そんな時、ヴィオラは旋律を弾いているパートに奏法を合わせることが多い。
他のパートの弾き方に合わせるというのはオーケストラでは普通のことであり、むしろ推奨されることなのだが、ヴィオラはそのような場面が比較的多いために、他のマネばっかりしていると揶揄されるのである。
ヴィオラジョーク5
沈みゆく船の上。ほかのみんなは海に飛び込み、泳いでいる。
チェリストが叫んだ「僕は泳ぎ方がわからないから助けてくれ!」
するとヴィオラ奏者「簡単じゃないか。みんなのマネをすればいいんだよ」
(むしろこれは良い風評なのではないかと個人的には思う)
おわりに
今あげた四つの「お決まりのパターン」は代表的なものではあるが、すべてではない。
他にもヴィオラジョークを理解するために必要なパターンはたくさんあるのだが、この記事では割愛させていただいた。
ヴィオラジョークはアメリカンジョークと呼ばれるものの一種であるから、日本人にはあまり向いていない可能性がある。
この記事を読んでも、ジョークの面白さがわからなかった人はいると思う。
しかし、アメリカンジョークなどこんなもんであり、グローバル化した社会において生き抜くには、気合で笑わなければならない。
実は私もヴィオラジョークの面白さが分かりません
え?
フフフ
おわり。
コメント
ヴィオラ奏者「簡単じゃないか。みんなのマネをすればいいんだよ」
↑
確か「泳げるふりをすればいいんだよ」ではなかったでしたっけ?
舞台上でも「弾いているふり」ばかりしていることを受けて、だと思います
(だってどうせ聞こえないから)
「みんなのマネ」だったとしても、同じニュアンスではないかと…