チューナー調弦の方が楽
ヴィオラを始めたばかりの時は、チューニングにも苦しむことと思います。
ですから、初心者のうちは、重音調弦より楽なチューナー調弦でないと、なかなか合わせられません。
チューナー調弦とは、4つの弦をチューナーで1つずつ合わせる方法です。
私も初心者の頃はそうでした。
上級者が重音で調弦しているのを見て、
よくもまあ二つの弦を同時に弾くなぁ
といつも思っていたことです。
チューナー調弦と重音調弦は違う
なんと言いますか、私はこの事実を最初に聞いたときに、どことなく焦りを感じました。
チューナーでいくら一生懸命合わせても、上級者が重音で合わせる調弦とは違ったのです。
かといって、重音でやってみてもさっぱりわからない。
しかし、もはやチューナーに甘えることはできないという事実を前に、ただただ途方にくれる期間が長く続きました。
十二平均律と純正律
途方に暮れてもいられないと思った私は、ヴァイオリンを三歳の頃からやっていて、背が高くて、言うことが哲学的で、おまけに眼鏡をかけている生意気な後輩に勇気を振り絞って質問をしてみました。
私「俺、前から思ってたんだけどさ、チューナーで調弦するのと、重音で調弦するのってなんか違うよね? いや、もちろん僕はいつも重音で調弦してr…」
背高哲学眼鏡生意気後輩「フフ先輩、それ、当たり前ですよねww耳で聞けばわかるじゃないですかフフwwwそもそも弦楽器は純正律で調弦するのが当たり前ですよwww和音を重視するオーケストラにおいてはもはや純正律意外考えられませんフフwwwそれをハハハwwwチューナーなんかで合わせたらフフフwwwチューナーは十二平均律ですからねフッwwwあ、十二平均律は音程の微調整ができないピアノのために開発された妥協の産物ですフッwww」
私「ハハハ、そーだ!それが正しいYO!まさに正義の純正律YEAH!君は頭がE、HEY、君はただC重音調弦万歳!和音の響きに圧倒的感謝ヒュー亜slるアカsンvwq利k仮名・hey平均律weiwei十二平均律ア・ヨイショ!」
純正律
以下、専門的な話は抜きにして、ざっくりと解説します。
純正律はハーモニーが美しい理想の音律です。
弦楽器はA(通常442Hz)を基準とした純正律で調弦をします。
そうすることで、少なくとも開放弦同士は良いハーモニーが保たれます。
しかし、純正律には大きな欠点があります。
ここでも細かい話は抜きにするのですが、例えばCを基準とした純正律音階があったとしましょう。
するとCとその5度上のGは完全5度ですから良くハモります。
しかし、1度ずつずらしたDとAは見かけ上完全5度なのにハモりません。
このように純正律は基準音に影響されるため、転調などに向きません。
ただし、弦楽器は指で音程を微調整できるため、開放弦を純正律調弦しても問題ないのです。
十二平均律
弦楽器は指で音程を微調整でき、理想の純正律調弦が実現できますが、ピアノの場合はどうでしょう。
ピアノは鍵盤楽器であり、各鍵盤の音程は固定されています。
よってピアノを真ん中のC基準の純正律などで調律したら大変なことになってしまいます。
そこで開発されたのが十二平均律です。
1オクターブの中に、つまりCからHまでの間に12音あるのですが、これをある数学的手段で均等に分けたら十二平均律になる、というイメージで良いと思います。(ざっくりしすぎて詳しい方には怒られるかもしれませんが...)
これにより和音が完全に共鳴することは無くなりましたが、自由な転調が可能になりました。
十二平均律が妥協の産物と言われるゆえんは以上にあるのです。
ちなみにチューナーは十二平均律です。
出来れば重音で調弦して純正律にしよう
最初は慣れないとは思いますが、重音で調弦した方が良さそうです。
何か月か重音調弦を練習すれば、だんだんつかめてくると思います。
重音で調弦する練習を積むことで、他の楽器とハモるための練習にもなります。
是非、やってみるべきです。
正しく純正律で調弦できているかを確かめる方法
少し逆説的になりますが、チェックには十二平均律のチューナーを使います。
チューナーの画面に目盛りがあると思います。
基本的に一目盛り5セント(100セント=半音)で打たれています。(メーカーによって違うかも)
これを踏まえ、Aを基準にCまで自分の耳を頼りにとりあえず合わせてみましょう。
次にチューナーで一本一本確認をします。
D線の場合、真ん中から約2セント低け音程
G線の場合、真ん中から約4セント低い音程
C線の場合、真ん中から約6セント低い音程であればオーケーです。
何事も練習!
楽器をやっていると本当に奥が深くて、目をつむりたくなってしまうことも沢山ありますが、逃げてばかりではいられません。
ひとつひとつ勇気をもって挑戦し、克服していきましょう。
今までチューナーに甘んじてきてしまった人は、ここでひと踏ん張り純正律調弦にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
おしまい。